上林暁「文と本と旅と」中公文庫。
去年の年末に天満橋のジュンク堂で楽天ポイントを使って購入。
10年以上前に梅田のかっぱ横丁で、昭和30年代のものとは思えないくらい状態が良くて、しかも帯付きの五月書房版を買った。
すごく大切にしてたんだけど、マジで金に困ったときにヤフオクで売ってしまった。
今後あんなキレイなものはなかなか出てこないだろうなと、今でも本当に後悔してる。
それ以来どうしても読みたくなると大阪市立中央図書館の書庫から出してもらって読んでたんだけど、文庫が出たのを知って買うことに。
編集は大好きな山本善行さん。山本さんは京都で古本屋を営んでらっしゃる。
著書の「関西赤貧古本日記」と「定本古本泣き笑い日記」はメッチャ面白い。何回も何回も繰り返し読んでる。
この「文と本と旅」は、文、本、旅、酒、人の5章からなっている。オリジナルには「人」の章はない。
古本や古本屋の話が大好きな自分にとって、やはり一番のメインは「本」の章。
他の章は本人が言ってる通りに正しい文章を書こうというところが見受けられ、少し堅苦しく感じるんだけど、本の章での本人が楽しんで書いているのが伝わってくる。
自分が上林暁の名前を知ったのは、古本ライターの岡崎武志さんの著書「古本屋さんの謎」
その中で五月書房版の「文と本と旅と」が紹介されていた。
他にもいろんな本が紹介されてたんだけど、なぜかこの本だけがすごく気になった。
久しぶりに読んだ「文と本と旅と」
「私は散歩に出ても、大抵オレンヂジュース一杯で咽喉をうるおし、左半身不随のからだをステッキに託して帰ってくる。一冊二冊の本でも、とても荷厄介である。しかし家に帰ると、ページをめくり、表紙を撫で、机の上において眺めて、飽くことを知らない。寝る時は枕許におく。開いて読むこともあれば、そのまま読まないで目を閉じることもある。折角古本屋に寄っても、一冊も獲物がなくて帰る時は、とても淋しい」
やっぱ上林最高。